ウエハー1枚の重み
私は現在、製造技術に所属し、SOIウエハーの製造フロー全般に携わっています。といっても、まだまだ駆け出しですから、上司や先輩について必死に学んでいる最中ですが、そんな私が現在取り組んでいる業務課題が6inc薄膜SOIウエハーの立ち上げです。
SOIウエハーを簡単に説明すると2枚のシリコンウエハーで酸化膜をサンドし、片側のシリコンウエハーを膜状になるまで薄く加工したもので、最先端デバイスへの対応が図れる高付加価値ウエハーです。
膜状に加工される側のシリコンには、厚膜と薄膜の2種類があり、私が携わっている薄膜市場は8incが主流で、長野電子でも既に8incの薄膜SOIは製品化されています。
当初、8incで需要には応えられると思われていたのですが、クライアントサイドから6incへのニーズが高まり、それに対応する形での懸命の立ち上げとなっています。
長野電子では、実際の所属部署に配属される前にシリコンウエハーの製造全般に新人研修を兼ねて作業を行う期間があるのですが、その際、ウエハー1枚に掛か
る時間と人手と手間に驚き、1枚のウエハーの重みというものを肌で感じました。この経験が、思い入れを持って、現在の仕事ができる要因の一つになっている
と思います。
やりたかったSOI
大学時代に薄膜SOIウエハーの膜側の剥離に用いる、イオンインプラという技術を学んでいたので、SOIウエハーに携われる仕事に就職したいと思っていま
した。ですから、自宅が長野にある点とSOIウエハーの製造を行っているといった点で、長野電子は希望就職先の一つでした。就職活動中に長野電子に面接に
訪れた際も何は無くとも「SOIウエハーの仕事をさせてください。」という気持ちを熱心に打ち出していたことを覚えています。
こんなことを言うのは、ちょっと照れくさいんですが就職活動は、恋愛と同じだと思うんです。こちらから真剣に気持ちを伝えれば、相手も最初は疑心暗鬼か
もしれませんが、いずれ真剣に返してきてくれる、そんなやり取りの中から相思相愛の関係が生まれてくるんじゃないかなと思います。
長野電子を受けに来たときは、そんな真剣な自分がそこに居たのだと思いますね。実際、他社の2次試験当日の朝、長野電子から内定をいただいたもので、そ
の試験は、浮かれ気分だったのか見事に落ちましたけど、やっぱりそんなもんなんですよね。そして今、やりたかったSOIの仕事に就けたということは、見事
順調なお付き合いが出来ているということで、後は嫌われないよう盛り上げていきます。SOIそのものが期待の製品なので、一生懸命がんばるだけです。
いつか褒められたい
現在の仕事についてからというもの、日々失敗の連続で成功を味わっていない状態、つまりは、怒られ、注意され、の毎日で褒められたためしがありません。
配属当初、外部へ性能試験を依頼するための依頼書をまとめて提出した際も、外部へ依頼される以前に品質管理で「こんな自分ひとりが理解しているような依
頼書じゃ、他人がみたんじゃさっぱり理解できないぞ!」と戻されてしまったことがあり、その依頼書を自分の目線ではなく他人の目線でもう一度読み直したと
ころ「確かに!」と納得してしまい、それからというもの自分なりに気を付けて仕事に取り組んではいるのですが、中々褒めてもらえず「いつかは褒められるよ
うな仕事をするぞ!」という思いを励みに仕事に打ち込んでいます。
地方からの就職活動は行脚の旅路
就職活動の思い出といえば、移動の辛さでした。私が在学していた金沢工業大学からは、東京・大阪といった首
都圏へのアクセスが悪く、移動だけでへとへとになる日々でした。企業ガイダンスに参加するにも移動のスケジュールを立てて、動かないと時間はもとより、費
用もバカになりませんでしたから、早い時期に決着をつけたいという気持ちもありましたので、誰よりも積極的に活動に取り組みました。
まず、履歴書を書くために自分自身を見つめなおし、履歴書に記載できるネタを掘り起こし、アピールできる点を模索する事からスタートしました。企業側も
早期に将来性の高い学生を獲得したいという意識があるという話をきいた事もありますから、早いうちに内定を出してくれるんじゃないかなという思いもありま
したからね。自分に将来性があるかどうかは、ここでは触れません。判断するのは会社ですから。
フィールドは広い
今学生時代に身に付けておけばよかったと思っているものが英語力です。読み書きはある程度できるのですが、自分から言葉にすることが苦手です。日本の教育では、英から和を重点的に学びますが、実際に必要なのは、和から英なんですよね。
学生時代に、産学交流で英国へ行く機会がありましたが、その時は学生気分で行っていた性か、その必要性を強くは感じなかったのですが、現在の仕事に就い
てからは海外のクライアントも多く、その気持ちがとても強くなってきました。「フィールドは確実に広がってきているなぁ。」と実感しています。
そんなこともあってか思うのですが、これから就職活動に入る学生のみなさんもそうでない学生のみなさんも時間のある学生時代に多少無理してでも一度は海
外に足を運んでもらいたいと思います。異国の地を体験することは、確実に価値観や視野を広げてくれますし、何らかのヒントを与えてくれると思います。
そして、もし長野電子に就職を考えている人がこれを読んでいるとしたら、自分の価値観や視点を磨き、自分の考えを持てる人となって来て欲しいです。常に
やりたい事やこうしたらどうかという意見を言える人間が絶対に活躍できると思います。私自身がどうなのかというと、まだその域には達していませんが、何れ
上司や先輩方と対当に渡りあえるようになりたいと思っています。
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